働きながら個人事業主になるまで
更新日:2022年11月26日
働きながら開業した理由
結論から言います。
私が本業を続けなら、開業することを決めた理由は至ってシンプルで、仕事を続けることで常に自分をアップデートする環境を作ることが出来るからです。
何を言ってるかというと、独立後は限られた関係者の中で、固定された仕事を受け続けることになり、情報源やスキルセットが固定化されてしまいます。いわば、若い時に得た知識を切り売りしているような状態です。
一方で、会社で働き続けるということは、良くも悪くも経験値が低くても様々なプロジェクトを任されます。それは育成という側面もあるからです。
しかし、副業の場合は経験の浅い人に仕事を任せるということはまずありません。
そのため、様々なプロジェクトから得る業界知識と実践経験は、副業をする上でとても貴重な経験となります。
また、社内には私が持っていないスキルセットを持つプロフェッショナルが多数在籍します。
そうしたプロフェッショナルと一緒に働くことで、間近でスキルに触れ、自分のものにすることが出来ます。(当然、見るだけではなく自分でも勉強はします。)
つまり会社で働き続けることの良さとしては、自分自身をアップデートをし続けることが出来る点にあります。自身がアップデートし続け、レベルが上がれば、副業で多くのクライアントに対して長期的に支援することが可能になります。
また、副業で得た社外の知見を本業に取り入れることで、成長の正の循環が生まれることも、本業を続けなら、独立することを決めた理由の一つです。

知ってるだけで得する開業の仕組み
開業について説明する前に、「副業」について整理します。
一口に“副業”と言っても、選ぶべき道は3つあります。
①特に手続きをしない(大部分はコレ)
②開業する(個人事業主)
③起業する(法人)
副業というと大部分は①を示していることが多い。
こちらは、収入が20万円を超えない範囲を指し、お小遣いを稼ぐ範囲なので、確定申告なども不要です。
20万円を超えると
②開業する(個人事業主)
③起業する(法人)
のいずれかをしなくてはいけません。
しかし、20万円を超えなくても②③を選ぶことは可能です。
なぜなら、②③を行うことで「節税効果」が生まれるからです。
以下では、節税効果について、②開業する(個人事業主)の場合でシミュレーションします。
赤字になった場合
開業して間もない時期は、「経費」が「売上」を上回る状態が続きます。
例えば、副業に必要なツールの購入・オフィス代・光熱費・交際費など。。
そうした場合、経費>売上になるので、赤字になります。
しかし、副業が赤字になった場合でも、損をしない仕組みがあります。
ここが大事なポイントで、「損益通算」という仕組みです。
一言で言うと、副業の赤字分を帳消しにするように、本業の税金を免除してもらえます。
例えば本業の年収が800万円でした。
副業の収入は50万円でした。
しかし、経費が100万円発生しました。
すると、副業は50万円の赤字になってしまいます。
しかし、確定申告(青色申告)をすることで「損益通算」が自動適用されます。
課税対象年収は
【本業年収】+【副業年収】-【経費】となります。
ややこしいのですが、ここにもう一つ嬉しいポイントがあります。
確定申告(e-taxというWebで青色申告をする前提)だと「控除65万円」が損益通算に適用されます。
この控除とは、
【本業年収】+【副業年収】-【経費】から更に65万円を差し引いた金額が、個人事業主の課税対象となるということです。

上記グラフの場合だと
【本業年収 800万円】+【副業年収 50万円】-【経費 100万円】-【控除 65万円】
=685万円
が最終課税対象金額となります。
つまり、年収は850万円のままだが、115万円分が免税され、課税は年収が685万円分の人と同じ分しか支払えば良いということです。
黒字になった場合
また、副業での仕事が安定してきて黒字になった場合も同様の仕組みが適用されます。

【本業年収 800万円】+【副業年収 200万円】-【経費 100万円】-【控除 65万円】
=835万円
年収は1000万円になるが、165万円分が免税され、税金は年収が835万円の人と同じ分だけ支払えば良いことになります。
つまり、個人事業主となれば、黒字でも赤字でも、損はしにくい仕組みとなっているということです。
これは胸を張って申請出来る仕組みであり、日本が経済を盛り上げるために、起業や副業を推進していることが背景にはあります。
自宅で開業する場合の経費(例)
個人事業主も法人も、事業にかかった費用は基本すべて経費として計上することができます。
個人事業主で自宅を事務所と兼用している場合、家賃や水道光熱費などはプライベートで使用した分と事業で使用した分の線引きが曖昧になるため、「家事按分」をして事業にかかった費用を算出する必要があります。
👉家事按分をする経費の具体例
・地代・家賃
・水道光熱費
・通信費
・自動車関連の費用
・自動車本体代
・ガソリン代
・駐車場代
・保険代 など
※按分の仕方は項目によって異なります。
打ち合わせの際の飲食代や新年会・忘年会等の会食代も経費として認められます。仕事関連でお付き合いしている方の冠婚葬祭に支払った慶弔費なども含まれます。
法人と違い、経費として認められる交際費の限度額はありませんが、プライベートとの線引きが難しい経費のため、額が大きいと税務調査の対象になることがあります。
個人事業主と法人の違い
個人事業主と法人の違いは、「信用力」が最も大きいです。
まず「信用力」とは、個人と法人どちらがビジネスパートナーとして信用を得られやすいか、という観点です。
取引金額が大きくなりがちな卸業や建築業では、何よりも支払や取引条件を遵守してもらえるかが重視されます。
そのため、登記簿や決算書などの公的に裏付けられた情報が開示される法人に取引先を限定する企業が一般的です。もし取引金額が大きいBtoB業種を選ぶのであれば、法人化を前提に準備を進めましょう。
一方で、IT関連やコンサルティング、飲食店など、特殊な商材を扱ったり大規模な取引を行ったりしない限り、たいていの取引先は個人事業主を許容してくれます。
法人化は経営が安定してからでも遅くありません。なので最初に個人事業主を選ぶ人が多いわけです。
また費用の観点でも違いはあります。
ここでは細かく説明しませんが、以下2点が費用的なメリットです。
・個人事業主は初期費用がかからず、すぐに事業を開始できる。
-個人事業主:0円
-法人
・株式会社:約25万円〜
・合同会社:約10万円〜
・個人事業主と法人では税率が異なり、一定の所得までは個人事業主の方が税額が低い。
-一般的に所得が800万円~900万円を超えると法人の方が節税効果が大きいと言われている。
上記のような観点で考えた時に、今の段階では法人ではなく、個人事業主になる方がメリットが大きいと考えました。しかし、2~3年の間には、法人にすることを目標としています。
まとめ
・働きながら開業した理由
・会社で働き続け、自分自身をアップデートをし続けるため
・開業(個人事業主)とは
・個人事業主になるということ
・確定申告をすることで、損はしにくい仕組みとなっている
・個人事業主と法人の違い
・「信用力」の違い
・取引金額が大きい場合は法人
・特殊な商材を扱ったり大規模な取引を行ったりしない場合は個人事業主で良い